ミナト横浜へまっし ぐら!

−横浜市営地下鉄 戸 塚〜湘南台間開業− (その3)

湘南台駅は、まだ未完成・・・10月10日完成予定です!

 

 立場を過ぎると、地下鉄は街道沿いのこれまでとはうって変わり、田園色 の濃い風景の中を走るようになります。また、今まで地下の深いところを通っていたのが、地表近いところ を通るようになり、地上を走る区間もあります。
 立場〜下飯田間は、今回の開業区間で一番駅間距離の長い区間ですが、この区間で電車は、2回地表に顔 を出します。ここは下飯田駅寄りの、和泉川という小さな川を渡るところです。

 ご覧のように、周りにはとてもここが横浜市とは思えないような風景が展開しています。まさに日 本の原風景、箱庭的景色です。真ん中に見える無粋な橋が地下鉄ですが、これはちょっと景観を配慮す る必要がありそうです。この橋がなければ、まるでどこか遠くの山里の風景でしょう。地下鉄だけ、浮 いた存在です(笑)。

 なお地下鉄の地上部では、車窓に住宅が見える箇所にはほとんど目隠しの板が張ってあり、車内か らはこうした自然風景の所しか、景色を見ることはできません。橋の上部に電車の屋根がちょっと見え ているのですが、おわかりになりますでしょうか?

   
 下飯田駅です。

 周りには豊かな緑が広がっており、ご覧のように駅のすぐそばまで畑が迫っています。ここは、半 年前に開通した相鉄いずみ野線のゆめが丘駅に隣接しており、改札はつながっていませんが乗り換え可 能です。画面中央にある家の向こう側に見える鉄骨のドームのようなものが、ゆめが丘駅です。

 ここも立場同様、地表にコンコースが設けられています。またこの付近では、線路は地表のすぐ下 を通っており、駅付近では掘割のような構造になっていて、地上から線路が見えます。
 下飯田駅の特徴として、ここには駐輪場の他に、マイカーの月極駐車場も併設されていることが挙げ られます。横浜市が管理するもので、78台分あり、一ヶ月の料金は七千円強です。この台数と金額で は、すぐに契約がいっぱいになってしまうでしょうが、マイカーの市内乗り入れ防止に少しは貢献しそ うです。現在鎌倉市において、観光で来るマイカーの市内への流入防止のために、パーク&ライドの実 験を行っていますが、ここ下飯田などは、都市型パーク&ライドの実験の場にできそうです。

 下飯田駅の風景は開業日前日の撮影で、駅では前夜祭が行われていました。

   
 下飯田駅を正面から見たところです。
 ご覧のように、前夜祭真っ盛り!という感じです。こじんまりした駅前広場には、地元の皆さんによる露 店や、開業日当日は立場に来た、ベイスターズオープンバスの姿も見えます。長後街道沿いの駅とは違う郊 外型の駅、下飯田。何となく平和なムードが漂います。

 現在はまだ自然がいっぱい残っている下飯田地区も、将来はこの素晴らしい環境を生かした田園都 市として開発されていくようです(横浜市いずみ田園文化都市構想)。豊かな自然と調和した、美しい 街並みを作り出して欲しいですね。

 ここが、横浜市内最後の駅になります。

   
 駅コンコースの内部です。
 ここもすごいにぎわいですが、ちょうど地元泉が丘中学校のブラスバンド部による演奏会が行われている ところです。新しい駅に響きわたるブラバンの音色は、とても新鮮な経験でした。地元の人たちもうれしそ うに、生徒達が奏でる音楽に耳を傾けていたのが印象的でした。

 翌開業当日の朝にも私はこの駅に来ましたが、前日のにぎわいが嘘のように、コンコースは静かに なっていました。昼間はきっと地元の初乗りの人たちが、大勢訪れたことでしょう。

   
 下飯田駅ホームです。この風景のみ、開業当日の撮影です。

 湘南台行きの装飾電車が去っていきます。戸塚〜湘南台間の開通式は開業前日に行われ、その際こ の装飾電車で出発式が行われたようです。
 この場所はホームのはずれですが、ご覧のように日の光が射し込んでいます。下飯田駅は前述のよう に掘割のような構造で、ホーム両端は地表に顔を出しています。ちょうど駅舎でホームにふたをされた ような感じですね。今回の開業区間では、地下1階のこの駅がいちばん地上から入りやすくなっていま す。

   
 さて、いよいよ地下鉄は、横浜市を出て藤沢市域へ入ります。ここは今回 の開業区間で、最もダイナミックな風景が展開するところです。
 市境を流れる境川を渡り越すため、ここで地下鉄は再び地上に顔を出し、相鉄線と共に湘南台の地下へと 滑り込んでいきます。なんか、のどかな田園地帯に忽然と姿を現した2匹の巨大な蛇が、絡まりながら地下 へ潜っていくような感じです。

 従来この付近は、横浜市側は川沿いに広がる水田地帯でしたが、藤沢市側には湘南台から続く住宅 地があり、従来無縁だった電車走行に伴う騒音問題が発生したため、ここの高架線では騒音を低減する 構造を採用しています。そのため防音壁が高く、地下鉄車内からは水田風景は見えますが、藤沢市側の 住宅地を見ることはできません。

   
 とうとう終点に到着しました。横浜市営地下鉄初の市外に立地する駅、湘南台駅です。

 藤沢市北部の新都心、湘南台。3つの鉄道の接点となり、公共交通の利便性が飛躍的にアップしま した。これほどの短期間にこれだけ利便性の向上したケースは、めったにないでしょう。今回の一連の 新規開業で、今後横浜市、特に隣接する泉区との交流が深まりそうです。横浜市の広報紙などでも地下 鉄開業の特集で、藤沢市の誇る湘南台文化センター市民シアターを紹介するなど、相互交流に向けた取 り組みが見られます。

 ここは地下1階のコンコースです。ご覧のように、とても広い空間になっています。改札口は、中 央やや右寄りの奥にあります。
 湘南台駅は地下三層構造になっていて、地下1階がコンコース、地下2階が市営地下鉄ホーム、地下 3階が相鉄線ホームになっています。地上を走る相鉄線の方が深い位置にホームがありますが、これは 横浜市営地下鉄がこれ以上延びないのに対し、相鉄線はさらにここから先、寒川方面への延伸計画があ り、そのためにこの先の川をくぐる必要があるため、深い位置に潜っているのです。

   
 湘南台駅東口駅前です。

 これは開業日前日の撮影ですが、開業当日もこれと変わらない風景でした。中央に下がっている開 業予定の垂れ幕も、このままでした。半年前、相鉄線が延長開業したときは結構雰囲気が盛り上がって いましたが、今回はそれほどでもないようです。やはり、今回の開業の恩恵を多く受けるのは横浜市内 で、湘南台地区はそれほど・・・ということの表れなのかも知れません。横浜市交通局も、市外である 湘南台までは手が回らなかったのでしょう。
 もっとも、湘南台駅はまだ工事が完全に終わっておらず、10月10日完成予定で最後の追い込み中 であることも、盛り上がりに欠ける理由かも知れません。湘南台では工事の完成した10月30,31 日に地元主催による盛大なイベント、「第1回湘南ファンタジア」を開催する予定なので、お楽しみは それを待ってから、ということになるのでしょう。

 なお駅舎完成後も、駅前広場や地下駐輪・駐車場などの工事は引き続き行われ、これらがすべて完 成するのは2000年春頃になるようです。

   
 同じく東口駅前から、西口方面を望んだところです。
 有隣堂ビルがあるのは西口駅前です。真正面にあるのは地下コンコース入り口で、その背後に小田急江ノ 島線の橋上駅舎が見えます。工事完成後は、小田急駅も地下コンコースに入り、3つの駅は地下1階の同一 フロアに仲良く同居することになります。工事中の現在は、3線相互の乗り換えは階段の上り下りが多く不 便ですが、完成後はずいぶん便利になります。
 小田急線はホームの延長工事(10両対応)も行っており、現在は各停のみの停車ですが、将来は急行停 車駅になるやも知れません。

(その後湘南台は、予想通り大きな発展を遂げ、2004 年秋現在、小田急では急行のみならず、お隣の長後を通過する「湘南急行(12月からは快速急行)」 の停車駅になるなど、文字通り藤沢北部の中心地としての地位を固めました。ただし画面に見える有隣 堂は、現在パチンコ店に変わってしまいました。2004.10.30追記)

 最後に、開業後の湘南台地区のバス路線についてちょっと触れておきましょう。
 この地区については、戸塚、泉区エリアほどの路線再編は行われませんでしたが、やはり若干変わっ ており、特に地下鉄との並行路線になる湘南台駅〜下飯田〜立場間の路線は、戸塚・いずみ野・いずみ 中央各駅方面への直通便が廃止された上に、大幅な減便になってしまいました。ただこの区間は、戸塚 駅〜立場間のように完全に両者が並行して走っているわけではなく(バスの下飯田は、地下鉄の下飯田 駅とは全然別の場所)、バスでないと不便な地域が多いにも係わらずかなりの減便(正規ダイヤでは日 中1時間に1本位)になっており、利用者からクレームが付いたのか当面運転の臨時便がやはり1時間 に1本追加されています。これは、定期便に格上げする必要があるでしょう。いずみ野方面との連絡が 途切れたのも、若干の不便さを感じさせますが、これは利用者が少なかったということの結果かも知れ ません。

 湘南台駅の工事が完成した暁には、「湘南ファンタジア」の模様を含め、改めてその様子をご紹介 できると思います。どうぞお楽しみに!

 

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