かっしーの家藤沢館 第3展示室 鵠沼海岸を巡って(その3 鵠沼海岸6・7丁目)

 鵠沼海岸6・7丁目は、鵠沼海岸の中でも北側に広がるエリアです。鵠沼新道が6丁目と7丁目の境界になっていますが、6丁目側はお店などが沿道に多く立地し、大きな公園もあるなど、比較的にぎやかなエリアです。一方、7丁目側はどちらかというと3丁目に似て、静かな住宅地が広がるエリアだといえます。

 それでは、まず6丁目からご紹介していきましょう。下の地図の赤枠で囲ったエリアです。

 このエリアの代表は、八部(はっぺ)公園(通称「鵠沼運動公園」)ということになるでしょう。ここは市の総合運動公園で、野球場、プール(屋外、室内)、テニスコート、ゲートボール場などがあり、緑豊かな芝生が広がる、市民の憩いの場です。このうち野球場は、1998年に開催された、「かながわ・ゆめ国体」の軟式野球会場として整備されました。また、蒸気機関車「しおかぜ号」が静態保存されています。

 鵠沼海岸駅から八部公園に行くには、鵠沼銀座(マリンロード)をずっと西に(すなわち、駅を出て右に)進み、鵠沼新道を越えるとすぐですが、この鵠沼新道との交差点(鵠沼運動公園交差点)には、横断地下道が造られています。自転車でも渡れるように、スロープのついた大きな地下道です。
 この地下道の建設はもう30年近く前になりますが、悲しい歴史が秘められています。夏休みを迎え、八部公園のプールは大勢の子供達で賑わいますが、その当時、駅の方からこのプールへ行こうとした小学生が、この交差点を渡ろうとして車にはねられ、亡くなったのです。
 子供が沢山渡るのに、安全性に欠けているということで、市は早速ここに地下道を造りました。歩道橋でなく地下道というところが、景観に配慮する当時の藤沢市の粋なところでした。鵠沼新道にはこのほかにも、鵠沼海岸5丁目交差点に小さな横断地下道がありましたが、鵠南小学校開校当時に通学路の安全確保のために作られたこちらは、老朽化と防犯上の理由でしばらく前に廃止されてしまいました。

 そのほか6丁目には、鵠沼新道沿いに個性的なお店や福祉施設などが点在しており、一方落ち着いた住宅地も広がっているなど、盛りだくさんのエリアです。

 それでは、個々にご紹介していきましょう。 (99.4.29.E地点ラシェットブランシュの喫茶店部分がイタリアレストランに代わったことにより記述修正。99.9.23.C地点に記述追加。茶字部分。
99.12.24.同じくC地点の記述修正。青字部分です。)

 A地点です。ここは6丁目の代表的な住宅地の風景です。昭和40年代半ばに、この付近に広がっていた田畑を造成して、住宅地となりました。元々この付近はずっと田畑が広がっていて、鵠沼新道も昔は幅員の狭い農道だったのです。今では所々残る畑に、わずかに昔の面影を見ることができます。

 左側に見える大きな建物は、藤沢市の老人福祉センター、「湘南なぎさ荘」です。老人福祉センターとデイケアセンターの複合施設で、多くのお年寄りがここに通ってらっしゃいます。福祉センター部分では、お年寄りの活動拠点として、各種カルチャー講座や、サークル活動などが行われています。またここにも、1丁目のサーフビレッジ同様、ともしび喫茶があります。
 一方デイケアセンター部分は、2丁目にある鵠生園と同じく、社会福祉法人上村鵠生会が運営していて、お年寄りは日帰りで、入浴、生活指導等の各種サービスを受けることができます。

   
 B地点です。ここが八部公園の正面です。近年、全体がきれいに整備されました。
 右手に見えるのが野球場で、ゆめ国体の軟式野球会場になったほか、毎年センバツ高校野球の予選会場としても使われており、高校球児たちの熱戦が見られます。ここには写っていませんが、さらに右手は芝生の広がる広場になっていて、休日にはここでくつろぐ多くの家族連れや、散歩する人々の姿が見られます。
 左手のドーム状の建物は室内プールで、最近、従来の屋外プールの一部を改修して作られました。トレーニングルームやサウナも併設されており、市民の手頃なアスレチック施設になっています。
 左手手前はゲートボール場です。この日もお年寄りグループがプレイしていました。
   
 同じくB地点、室内プールの内部です。明るく健康的な設備ですね。プールの長さは25メートルあります。他にも、ジャグジーや幼児用プールが見えます。
 先ほどふれたトレーニングルームとサウナは、2階にあります。
   
 C地点です。鵠沼運動公園に静態保存されている、タンク式蒸気機関車「しおかぜ号」です。

 C11 245という車番のこの機関車は、第2次大戦中の昭和18年に製造されました。東北地方など各地で働いた後、盛岡機関区を最後に廃車され、昭和51年にこの地へやってきました。藤沢駅の構内でも、昭和41年まで貨車の入換用として、仲間が働いていたそうです。

 そして現在、このC11の仲間が、全国各地で復活運転されています。栃木県の真岡鐵道、静岡県の大井川鉄道などで常時見られる他、NHK朝の連続テレビ小説「すずらん」(99年上半期放映、2000年映画化)で登場した機関車も、このC11型です(舞台は北海道、留萌本線です)。

 機関車の周りにはレールが張り巡らされ、毎月第2日曜日には、ミニSLの運転が行われています。この裏手には、テニスコートが広がっており、大勢の市民に利用されています。

 

   
 D地点です。
 ここは、「太陽の家」という身障者の方々のための施設です。藤沢市が直営しており、しいの実学園(知的障害を持つ未就学児童対象)、松の実学園(肢体不自由の未就学児童対象)、藤の実学園(知的障害者の自立更生施設)の3つの学園をメインに、点字図書館、体育館などが併設されている他、療育相談などの受付も行われています。
 このうち体育館は、ハンディキャップのある方を優先に、空きがあるときは一般の方も利用することができるようになっています。
 太陽の家の裏手には、二葉という保育園がありますが、この保育園と太陽の家は相互交流を行っており、身障者への理解を深める一助となっているようです。

 ついでながら、松の実学園の児童送迎には、江ノ電バスの専用車(鵠沼車庫常駐)が使われています。

   
 E地点です。
 ここは「ラシェットブランシュ湘南(レールブランシュ)」というケーキやさんです。最近まで喫茶店も併設されていたのですが、99.4.19より、喫茶部分は「ラーラ ビアンケ」というイタリアレストランに衣替えしました。ここはもともとは、「名古屋」というフランス料理店でした。
 ここのケーキはおいしく、生チョコレートなど絶品です。また、レストラン内部はこじんまりした中世ヨーロッパ風ホールのような作りになっており、春秋の休日には、ここで結婚式を挙げるカップルが多くいます。
 新装なった「ラーラ ビアンケ」にさっそく行ってみました。予想通り、フォーマル系のメニュー構成です。パスタを食べたところ、なかなかの味でした。価格も手ごろな気がします。

 そして特筆すべきは、ここで、鵠沼サロンコンサートという室内楽系の演奏会が行われることです。
 これは、鵠沼室内楽愛好会という団体が、先ほどのレストラン「名古屋」の協賛のもと主催するコンサートで、ほぼ毎月1回、火曜日の夜に開催されています。こじんまりした会場なので、観客の定員は60人ほどなのですが、登場するアーチストが世界的な名声を持つ人々で、非常に質の高い玄人向けの演奏を、アットホームな雰囲気で聞くことができます。
 私は音楽も結構聴くのですが、これほどリッチな内容の演奏会は、日本国内で他にその例を知りません。松本・水戸と並ぶ音楽都市、藤沢が、市民オペラの他に誇る、もう一つの演奏会がここにあります。

   
 F地点です。
 ここはジョリーシャポーというカフェテリアですが、やはり有名な店です。昭和40年代前半に、ウルトラセブンという円谷プロ制作の番組がありましたが、その主人公、諸星ダン役の森次晃嗣氏がここのオーナーなのです。
 私もここで森次氏を見かけたことがありますが、氏はたいていこの店におり、氏に会いに遠くからもファンがやってくるようです。セブンクラブという全国組織のファンクラブもあります。店内にはゆかりのグッズが、たくさん展示・販売されており、ムード満点。夜には月1回、ジャズやシャンソンのライブが行われたりしています。

 また毎年5月になると、5丁目の鵠沼伏見稲荷神社でセブン祭りが開催されます。この日は朝から境内にウルトラセブンの曲が鳴り響き、露店も出店したりして、多くの人でにぎわいます。

   

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