湘南二都物語 第2幕 ミニバスの走る街

    番外編 辻堂駅南口〜辻堂西海岸

2000年7月7日、七夕の日、辻堂に新しいバス路線が開通しました。

辻堂駅南口〜辻堂海浜公園〜辻堂西海岸線です。

最近新しく開通した市道を縦断し、辻堂団地エリアと辻堂駅を短絡しました。
ちょっと南欧風の、明るい住宅地を抜け、まぶしさいっぱいのウエストコーストを走ります。

何と言ってもこの路線の特徴は、全便が環境に優しいエコバス(低公害バス。ハイブリッドバスや
アイドリングストップバスなど)で運行されることです。
沿線地域住民の要望で実現しました。

(2000.9.29.江ノ電側の運行担当変更に伴う記述変更。紫字の部分です。
2000.10.14.海浜公園の風景3点展示替え。青字の部分です。
2002.2.10.江ノ電バスの新車両を追加、オレンジ字の部分です。
2002.9.16.神奈中側の運行担当変更に伴う記述変更。青時の部分です。)



 この路線は、辻堂駅南口2番乗り場から発車します。ここは、従来長久保経由藤沢駅行きと、太平台経由鵠沼車庫行きが発車していた乗り場ですが、さらにこの新路線が仲間入りです。場所はJR橋上駅からの階段のすぐそばで、雨の日なども楽に乗り継ぎできそうです。

 なおこの路線は、神奈川中央交通(2001.9.より、藤沢神奈交バスに運行委託)と江ノ島電鉄(江ノ電バス(株)に運行委託)の共同運行で、運行本数は両社仲良く半分ずつです。一応、辻03系統を名乗ります。
 ここに写っているのは、神奈中のハイブリッドバス(ブレーキ時にエネルギーを蓄え、走行エネルギーとして再利用(回生ブレーキ)。アイドリングストップ付。三菱製)です。普通、神奈中の大型乗合バスは黄色に赤の塗色ですが、このバスは青い塗色で、差別化を図っています。
 神奈中バス、江ノ電バスとも、走るバスはこの線の専属になっています。

 2002年2月、開業時に投入された江ノ電バスの車両(下に数点写っている、オレンジの車両)は機器不調のため、左に写っているピンク色の新車両に置き換えられました。ボディ側面には、双葉や江ノ島の姿がレタリングされています。
 また2001年秋より辻堂駅南口エレベーター設置に伴い、乗り場も従来の駅階段下からロータリーをはさんだ向かい側に移りました。

(左側の2枚のうち、上がかつての乗り場、下が新しい乗り場です。)

   

 辻堂駅を出たバスは、昨年春に開通した市道「辻堂駅南海岸線(海浜公園通り)」を一路南下します。この道は文字通り、辻堂駅と県立辻堂海浜公園を一直線に結ぶ道で、新しく開通した道らしく、歩道などがモダンな感じに整備されています。

 写っているのは、一番最後に開通した区間(辻堂駅〜久根下公園間)で、道路予定地にあった民家の立派な庭木が、中央分離帯上に保存されて残っています。
 上が辻堂駅側から撮ったもので、下が海岸側から撮ったものです。上の風景では、道が海岸方面へまっすぐに続いているのがおわかりになると思います。一方の下の風景では、左側に珍しいわらぶき屋根の民家が見えます。



   

 辻堂駅からまっすぐ南下してきた市道が、県道戸塚茅ヶ崎線と交わる交差点です。神奈中の西海岸行きが、右上に止まっているのが見えます。横切るのは、江ノ電バスの辻堂団地発藤沢駅行きです。

 従来、辻堂団地にお住まいの方々がバスで辻堂駅に出る場合、この戸塚茅ヶ崎線の県道を浜見山まで行き、そこを左折して辻堂駅に向かうコースでした。このコースは、辻堂駅付近になるとJR線路を越えて北側へ抜ける車などで、朝方や休日など渋滞が発生し、バスの定時運行がしばしば妨げられてきました。
 今回開通の市道経由だと、抜け道になっていないため交通量が少なく、バスは定時運行が出来るようになり、非常に便利になったと言えるでしょう。

   

 辻堂海浜公園入口のT字路を、辻堂駅方面に曲がっていく江ノ電バスです。このT字路が、この路線でバスが唯一曲がるポイントです。ここから辻堂西海岸までも、ずっとまっすぐの一本道なのです。曲がる所が1ヶ所しかないというのは、ある意味で、非常に珍しい路線と言えるのかも知れません。

 この江ノ電バスも、黒煙フィルター・アイドリングストップ付低公害バス(いすゞ製)です。江ノ電のエコバスは、これが3台目(鎌倉を中心とするエリアを走る、手広営業所に既に2台配備されている)ですが、いすゞのエコバスは初めてです(手広の2台は、三菱製のハイブリッドバス)。しかもこのバスは、低床ワンステップバスでもあります。江ノ電のバスでは、ミニバスにはワンステップ車はありましたが、大型乗合バスのワンステップ車は初めてです。さらに付け加えると、いすゞキュービックと呼ばれる角張ったボディーも、これが初めての採用で、この江ノ電バスは、何から何まで初もののバスだと言えるでしょう。

(上でご紹介したとおり、2002年2月、ここに写っているバスは新車に代替されました。新しいバスもいすゞ製(エルガミオという車種です)、低床ワンステップでアイドリングストップつきです。)

   


 ここで、辻堂海浜公園の風景をご紹介しておきましょう。
 上が公園内にある県営プール、下がプールサイドから望んだ、海浜公園の風景です。
(2000.10.14展示替え)

 そもそもこの付近は、広大な砂丘地帯で、江戸時代の昔には、幕府の射撃練習場(天領)として使われていました。明治になると旧日本海軍の演習場、第2次大戦後はアメリカ軍に接収されその演習場になるなど、軍事施設としての色合いの濃い、よって民間人とは縁遠い地帯だったのですが、1959(昭和34)年になると日本に返還され、現在のように生まれ変わったのです。浜見山にある湘南工科大学、辻堂団地、ここでご紹介している辻堂海浜公園などは、みなこの返還後に整備されたものです。

 現在ベイサイドを通っている国道134号線も、かつては現在の浜見山派出所前交差点(辻堂海浜公園の東側)と浜須賀交差点の間は道がなく、この区間は内陸を迂回(浜見山交差点経由)していました。

   

 交通公園前付近を行く、辻堂駅行きの神奈中バスです。

 この道は、辻堂西海岸エリアを東西方向に一直線に貫く道で、道の南側には海浜公園、北側には辻堂団地が広がっています。バスの背後に見えるビル群が、辻堂団地です。

 この辺りは、広大な砂丘地帯だった名残を感じさせる、ちょっと日本離れした開放的な雰囲気を感じさせます。アメリカ西海岸風と言えるかも知れません。

   

 海浜公園の西端にある、県立交通公園の風景です。

 ここは、文字通り子供達に正しい交通ルールを学んでもらうべく開設された公園で、園内にはサイクリングコースが設けられ、各種自転車を借りて乗ることができます。サイクリングコースには、模擬信号も設けられています。そして画面右側には、小田急で廃車になった通勤電車が保存されているのが見えます。
 また空中に延びる、細長い線路状のものは、スカイサイクルという乗り物のレールです。これは1990年に鵠沼海岸で行われた「SURF’90」というイベントの時に会場に設けられたものを、イベント終了後にここに移設したもので、文字通りこのレールの上を、足こぎのカートに乗って進みます。これ、なかなか面白いですよ!
(ちょうど画面左上に、足こぎカートが一台写っていますね。)

   

 いよいよバスは終点、辻堂西海岸に到着しました。

 ここは辻堂団地の、そして藤沢市の西のはずれに位置し、このすぐ西側から茅ヶ崎市になります。画面右側が南側になりますが、ここには藤沢市の辻堂浄化センター(下水処理場)があります。
 バスは浄化センターの敷地内に新設された小さな折り返し場でぐるりと回り、辻堂駅行きとなって折り返していきます。

 

路線の概要(2000年7月現在)

運転系統

  
   辻03系統

         辻堂駅南口 − 辻堂海浜公園入口 − 辻堂西海岸
      

所要時間 全線約10分
運転状況

            
             平 日 7〜9,17〜19時台;15分毎
                  その他;約30〜40分毎

             土休日 10,11,18時台;15分毎
                  その他;約15〜30分毎

             ※神奈中・江ノ電ほぼ半数ずつ運行。

運 賃
    辻堂西海岸 
  高 砂  170
辻堂駅南口  170 180

運賃後払い方式。
  神奈中バスは前扉から乗車、降車。江ノ電バスは中扉から乗車、前扉から降車。  

共通定期券取扱、共通カード使用可能。  

担 当 藤沢神奈交バス(株)(高山車庫)江ノ電バス(株) (鵠沼車庫)
特記事項 神奈中・江ノ電とも、当路線専用のエコバスで運行。
2000.9.16.より、江ノ電側の運行担当が江ノ島電鉄藤沢営業所より
江ノ電バス(株)へ移管。

2001.9.より、神奈中側の運行担当が神奈川中央交通藤沢営業所より、
藤沢神奈交バス(株)へ移管。


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