湘南二都物語 第2幕 ミニバスの走る街

   第15部 藤沢駅南口〜教養センター循環(江ノ電バス)



2004年4月、藤沢駅南口から3本目のミニバス路線が開通しました。

鎌倉市のオムニバスタウン計画に基づく、

交通不便区域解消策の一環として、

笛田地区内の住宅地(萩郷住宅)を循環する路線です。

渋滞する県道の裏道を抜け、

駅と住宅地をスムーズに結びます。





 教養センター循環は、藤沢駅南口、8番乗り場から発車します。ここは小田急百貨店の前で、これまで渡内中央線(ミニバスの走る街第6部で紹介)の乗り場でしたが、新たに教養センター循環が加わったのです。

 使用するバスは日野のリエッセ。江ノ電バスが運行するミニバス路線共通のこまわりくんですが、渡内中央線の日産車とは異なり、丸っこいボディーがかわいらしい車です。
 藤沢駅を出たバスは、すぐに南銀座一番街商店街へと入っていきます。ここに写っているのは、間もなく商店街を抜け駅前ロータリーに入ろうとしているこまわりくんで、手前側が藤沢駅南口ロータリー、奥が川名方面です。

 この道はご覧のように狭く、日中の人通りも多いにもかかわらず、昔から標準サイズの路線バスが通っています。藤沢と手広方面を結ぶ旧道にあたるためで、現在この道を通るのは、江ノ電バスの路線の中でも歴史ある重要路線である深沢線(藤沢駅〜鎌倉駅間、大仏経由)と、渡内中央線、そして今回開通した教養センター線です。標準サイズの深沢線は運行頻度も高く、この区間は非常に走りにくい場所でしょう。

 また深沢線は、今回の教養センター線と密接に関連する路線です。なぜかというと、教養センター線は深沢地区までずっとこの深沢線が通る県道の裏道を走るルート設定になっているからなのです。
 しかし、裏道を走るメリットは、渡内中央線ほどはありません。県道は土日を中心に渋滞するのですが、深沢線はこの南銀座一番街を抜けることで、渋滞ポイントをほぼ回避できるのです。教養センター線は笛田地区の交通アクセス改善のほか、裏道が通る村岡宮前地区を中心とする小塚地下道前〜八丁面間地区の交通環境の改善も果たしたと言えると思います。





 南銀座一番街を抜け、小塚地下道前付近を行く教養センター方面行きです。このT字路を、従前の渡内中央線は左折(この画面だと、向かって手前右側へ)し、小塚地下道を抜けて渡内中央方面へ向かうのですが、教養センター線はこれまでバス路線のなかった村岡宮前方面へと直進していきます。

 この付近はまた、多くの中小工場等が立地しており、渡内中央線もそうですが、教養センター線もそれらの工場へ通う人々の足としても活躍しています。
 ちょっと遠くで小さいですが、柏尾川にかかる古館橋を渡る、藤沢駅行きのこまわりくんです。

 橋の袂の交差点(画面左端)で、教養センター線は柏尾川沿いに走る従来路線(江ノ島、津村〜大船駅等)と交差します。しかし、従来路線側には近くに古館橋バス停がありますけど、教養センター線には連絡するバス停はありません。




 湘南深沢付近を行く、教養センター方面行きです。

 画面の上に見えるのは、湘南モノレールの桁です。画面のこまわりくんが走っているのは、かつての京急専用道路(現在は鎌倉市道)で、湘南深沢付近のほんのちょっとの区間だけ旧専用道上を走ります。しかしちょうどこの区間上の湘南深沢バス停が、従来から旧専用道を走破していた京急バスの深沢バス停と同位置に設置されたことから、ここで教養センター線と京急バス(江ノ島、諏訪ヶ谷、鎌倉山〜大船駅等)の相互乗換えができます。
 また湘南深沢(京急バスでは深沢)バス停から湘南モノレールの湘南深沢駅は至近で、よって教養センター線からモノレールへも乗換えができます。付近にはスーパーマーケットやボウリング場があったりと、商店街風のたたずまいになっており、湘南深沢はちょっとした交通の結節点の趣です。

 画面のこまわりくんはこの先を左折し、深沢交差点で先ほどご紹介した深沢線と交差しますが、ここも古館橋同様、深沢線側に深沢バス停があるのに対し教養センター線側にはバス停はありません。

 なお蛇足ながら、深沢バス停は江ノ電(深沢線)と京急で一部分かれており、旧専用道を通る京急バスの深沢は、教養センター線の湘南深沢と同位置の旧専用道上にありますが、京急バスにもここから専用道をはずれ県道に出る路線(大船駅〜大仏経由鎌倉駅線等)があり、この路線の深沢バス停は、大船方面行きのみ、県道上にある深沢線と共用の深沢バス停を使用しています。

 深沢交差点を過ぎ、いよいよこまわりくんは笛田地区に入ってきました。笛田1番付近を行く、藤沢駅行きです。

 笛田地区は鎌倉市内の中でも交通が不便な地域という位置づけになっていますが、ご覧のように、のどかな里の風景が広がっています。付近には茅葺屋根の民家も残っており、いちご農園もあるなど、湘南エリアの中でも、きわめて自然の豊かな地域といえるように思います。
 笛田と言ってもその範囲は結構広く、厳密には教養センター線は、笛田西部地区(特に次にご紹介する萩郷住宅地区)の交通アクセス改善を果たした路線と言えます。




 教養センター線も、そろそろ佳境に入ってきました。
 路線名の由来である教養センター前を行く、こまわりくんです。朝方には、一部この教養センター始発の便があります。

 画面左側に写っているのが鎌倉市教養センターです。ここはいわゆる老人福祉センターで、お年寄りの方々等の生涯学習・ボランティア活動の拠点施設となっています。
 この付近で教養センター線は小さな循環ルートをとりますが、循環ルートの内側には、萩郷住宅と呼ばれる住宅地が広がっています。萩郷住宅は、この教養センター線が開通するまでは深沢地区まで歩いて出る以外交通の便がなく(湘南深沢駅まで徒歩20分弱)、ちょっとした陸の孤島状態でした。

 こまわりくんは、萩郷住宅の外縁をぐるりと回り、笛田4番バス停にやってきました。笛田4番バス停にまさに停まろうとしている、こまわりくんです。
 一応ここがこの路線の終点となりますが、運行形態が循環なので、こまわりくんはこの先笛田2番バス停へ出て、そのまま藤沢駅へと折り返していきます。なお夜間は、この笛田4番止まりのバスもあります。

 萩郷住宅は、南〜西側に鎌倉山の住宅地、東側には笛田公園というグラウンドなども持つ鎌倉市の公園が、それぞれ広がっています。鎌倉山住宅地は、その名のごとく山のため少し高い位置にあり、萩郷住宅とは直接つながってはいません。しかし、萩郷住宅の奥から鎌倉山入口ロータリーに抜ける登り道があり、そこにある鎌倉山バス停までは徒歩10分弱で行けるようです。
 こうしたロケーションのせいか、萩郷住宅は非常に静かなたたずまいで、特に住宅地の外側にはこの画面でもご覧いただけるように、豊かな自然がまだそのまま残っているような雰囲気でした。




路線の概要(2004年4月開業)

運行系統 藤沢駅 - 小塚地下道前 - 村岡宮前 - 湘南深沢 - 笛田2番 - 教養センター - 笛田4番 - 藤沢駅
所要時間 全線約30分(教養センターまで15分)
運転状況 運転時刻については、神奈川バス案内WEBをご参照ください。
乗車停留所を入力すると、そのバス停の時刻表を表示します。

(参考)朝:18〜60分、日中:45〜75分、夕:25〜75分毎
運 賃
藤沢駅
山武前 170
村岡宮前 170 170
湘南深沢 170 170 180
笛田2番 170 170 170 210
笛田4番 170 170 170 200 230

運賃後払い方式。中扉より乗車、前扉より降車。共通カード使用可能。
担 当 江ノ電バス(株)(手広車庫)
特記事項


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