湘南二都物語 第2幕 ミニバスの走る街

   第14部 桜道線(洋光台駅〜雑色〜上大岡駅)(江ノ電バス)

今回ご紹介するのは、横浜南部、港南区を走るミニバス路線です。

湘南二都物語で取り上げるエリアとしては、ぎりぎりの場所ですが、

江ノ電のこまわりくんが活躍する路線ということで、取り上げることにしました。

桜のお花見の名所や、これまで公共交通機関のなかった住宅地を通りぬける、

乗車率の高い路線です。

駅と駅を結ぶ路線としても、第2幕初となります。2001年4月16日の開通です。

 

  この路線の基点は、どちらかというと上大岡駅のほうがいいのかもしれませんが、ここでは、洋光台駅側からご紹介していくことにします(より湘南に近い側から、という意味で・・・^^)。

 洋光台駅は、JR根岸線で大船から3つ目の駅です。かつては、横浜側から延びてきた根岸線の終点となっていた時もありました。駅の周りには高層住宅が立ち並び、その周辺は瀟洒な住宅地が広がる、典型的なベッドタウン駅ということができると思います。最近は、お隣の港南台駅のほうが乗降客数が多いようですが、洋光台駅も割と多くのお客さんが乗り降りしています。

 この駅に乗り入れるバスは、横浜市営が一番多く、各方面に路線を伸ばしているのですが(たまたま1台も写っていませんけど)、江ノ電バスも、横浜営業所の車が上大岡駅から3系統乗り入れています。桜道線も、その中の一つということになります。
 桜道線は、洋光台駅の改札のすぐ前にある4番乗り場から発車します。

 ちなみに、江ノ電横浜営業所(車庫)は、上大岡地区の関の上というところにあります(蛇足ですが、江ノ電バスもずいぶんいろんな所を走っているものですね^^)。

   

 洋光台駅を出たバスは、しばらくは幅の広いゆったりした道を走ります。ここに写っているのは、洋光台2丁目付近で長谷川団地方面に向かうべく右折する、上大岡駅行きのこまわりくんです。江ノ電の在来路線、打越・関の上経由上大岡駅行きのバスも、この角を右折して途中まで併走します。

   

 長谷川団地付近を行く、洋光台駅行きのこまわりくんです。ここはもう、こまわりくんの単独路線です。

 上大岡駅行きのこまわりくんは、ここに写っているバスの手前に見えるT字路を左折して長谷川団地へと向かうのですが、洋光台駅行きのバスは、このT字路の見通しが悪く危ないため、ちょっと遠回りしてこの少し先の別のT字路からこの道に出てきます。
 だからこのバスは、まっすぐ向こうから走ってきたんですね。

   

 長谷川団地〜グリーンタウン会館前間を行く、上大岡駅行きです。

 この付近は完全な住宅街で、道幅も狭くなり、いよいよこまわりくんの本領発揮、といった感じになってくるところです。この場所も、坂を登って窮屈な角を鋭角に曲がらなければならず、この路線で最大の難所と言っていいポイントです。
 この付近からグリーンタウン中央〜笹下保育園付近までは、起伏のある住宅街の狭い道が続きます。

 グリーンタウンという住宅地は、約20年ほど前に大手デベロッパーによって開発されたもので、現在ではすっかり成熟した街並みとなっています。バスなどの公共交通機関はこれまで全くなく、洋光台駅まで約20分ほどの道のりを歩いていくのがこの付近に住む方々の主流行動パターンだったようです。ただその不便さゆえ街の中は静かさが保たれていて、今回のミニバス路線開設にあたっても新しくバス通り沿いとなる住宅に住む方々は、音がうるさくなるなどの理由から、あまり積極的に賛成はなさらなかったということです。
 現在の運行頻度がほぼ30分に1本、日中は1時間に1本と少ないのも、その影響でしょう。

   

 笹下保育園付近を行く、洋光台駅行きです。
 相変わらず住宅街の中の狭い道を走っています。手前の空き地が、保育園のグラウンドの一部です。

   

 笹下保育園前〜雑色間を行く、上大岡駅行きです。

 このアングルは、下でご紹介している横浜環状2号線との交差点付近から洋光台方面を撮影したものです。こまわりくんが、狭い住宅街を抜けてくる様子が分かりますね。

   

 横浜環状2号線との大きな交差点を横切って行く、上大岡駅行きこまわりくんの様子です。

 横浜環状2号線は、磯子から港南区日野、戸塚区平戸、神奈川区羽沢を経由して新横浜に至る、片側3車線、制限速度60キロの高規格一般道です。手前側が磯子方面で、トンネルの方が新横浜方です。
 開通したのはまだ最近で、道路事情のあまり良くない横浜市内の、貴重な幹線道路としての役割を果たしています。
 正面に見えるトンネルは港南ひまわりトンネルといい、このトンネルの真上にこれからこまわりくんが向かう、桜道坂上バス停があります。こまわりくんは一旦環状2号をここで渡った後、雑色を経由して再度この画面の右側から左側へ、港南ひまわりトンネルの上を通って向かって行くのです。

   

 雑色付近を行く、上大岡駅行きこまわりくんです。

 雑色というバス停は、この交差点をバスが出てきた方にちょっと行くとありますが、かつてはこの一帯、こまわりくんがこれまで走ってきたグリーンタウン地区や、長谷川団地のあたりまでのかなり広い範囲が、雑色という地名だったようです。現在この付近には、笹下という町名が使われています。

 桜道線には始終発付近の時刻に、洋光台駅〜雑色間の区間運転があります。雑色止まりのバスは、今こまわりくんがこちら側へ曲がってくるT字路を反対側へ曲がり、関の上の車庫へと回送で向かいます。

   

 桜道坂上付近を行く、上大岡駅行きこまわりくんです。

 桜道というのはその名の通り、沿道にずっと桜並木が続く道で、上でご紹介している雑色付近から、この桜道坂上を経由し、これからこまわりくんが走って行く港南区役所付近まで、ずっと桜並木が続いているのです。その桜の木も非常に太いものが多く、なんでも昭和8(1933)年に、地元の有志の方々が植えたものだそうです。春のシーズン中には、それは見事な桜の花が楽しめます。
 ここを走るこまわりくん路線が開通したのは4月16日で、桜のシーズン直後にあたるため、このコーナーでは満開の桜並木の下を行くこまわりくんの様子をご紹介することができませんでしたが、下に桜が満開の頃の桜道の様子をご紹介しているので、あとは皆さんのご想像で情景を頭に浮かべてみてください(^^)。

 さて、ここに写る三叉路ですが、右側が雑色方面、左側が港南区役所方面となっていて、手前側はどこに向かうのかというと、ほどなく日野公園墓地に行き当たることになります。
 日野公園墓地はなだらかな丘陵地帯に広がる、歴史のある大きな公園墓地で、横浜が輩出した有名人も、多くの方がここに眠っているそうです。例えば、美空ひばりもこの地に眠るお一人です。

 桜道も、もしかするとこの日野公園墓地へのはなむけとして、できたものかも知れませんね。春のお花見シーズン中は、ここ桜道坂上付近から日野公園墓地までの間(この間にも、桜並木は続いています)に多くの露店が並び、大勢の花見客でにぎわいます。

   

 桜道を港南区役所側から上ってくる、洋光台駅行きこまわりくんです。
 港南区役所(鎌倉街道)付近から桜道坂上まで、ずっと上りのだらだら坂が続きます。まさに行きはよいよい帰りは怖いで、坂上付近の方々にとって、出かけるときは下りで楽ですが帰りはずっと上りで、大変だったことでしょう。
 この桜道も一応2車線ですが、道幅はあまり広くなく、沿道の桜の木が大木になって路肩を占領しているため(かといって、このような見事な桜並木はいつまでも残していってもらいたいものですが)、一層狭く感じられます。こまわりくんはミニバスの本領を発揮して、桜道もすいすいと軽やかに走って行きます。

 そして下の風景が、桜の花が満開の頃の桜道の様子です。まさに、桜のトンネル、といった趣です。ちょうちんなども下がり、お花見気分が漂いますね。

   

 さて、いよいよ桜道線の旅も終着に近づいてきました。鎌倉街道、桜道入口交差点付近を行く、洋光台駅行きのこまわりくんです(ちょっとトラックの陰になってしまっていますが(^^;)。

 桜道は坂を降りきると、鎌倉街道(県道21号線)に出ます。この鎌倉街道は鎌倉から大船、上大岡を経て横浜市中心部に至る道で、昼夜車やトラックが行き交う、文字通り交通の大動脈です。これまで比較的のんびりした所を走ってきたこまわりくんですが、ここから終点上大岡駅までは、車の洪水の中をラストスパートします。

 この道の下には、横浜市営地下鉄も通っています。こまわりくんの後方に見える、屋上に旗の立つビルが横浜市港南消防署、その左奥のビルが港南区総合庁舎(港南区役所)です。区役所の前には、ちょっと分かりにくいですが市営地下鉄の港南中央駅への入口があり、その入口の前が、港南区総合庁舎前バス停になっています。
 鎌倉街道はバスにとっても大幹線で、ここにはたまたま1台も写っていませんが横浜市営バスや神奈中バス、そして江ノ電バスもこの道を頻繁に行き来しています。

   

 上大岡駅前を行く、こまわりくんです。

 上大岡は横浜市の副都心の一つで、駅前の鎌倉街道に沿って数多くのビルが立ち並ぶ、一大繁華街を構成しています。1997(平成9)年には駅前再開発が完成し、京急上大岡駅は京急百貨店や港南区民文化センター「ひまわりの郷」(小ホールやギャラリーを中心とした文化施設)などが入居する大きな駅ビル(愛称「ゆめおおおか」)に生まれ変わりました。この駅ビル「ゆめおおおか」周辺には、数多くのパブリックアートが配されているのも大きな特徴です。
 当然上大岡は京急の拠点駅の一つで、普通から快速特急まで全種別の列車が停車します。また駅前の鎌倉街道下には横浜市営地下鉄の上大岡駅があり、京急との間に多くの相互乗換流動があります。

 駅ビルの下にはバスターミナル(再開発終了当初はゆめおおおかバスターミナルと称していましたが、現在は単にバスターミナルといわれています)があり、ここからこまわりくんの洋光台駅行きも発車しています。

   

 最後に、上大岡駅バスターミナルで発車を待つこまわりくんをご紹介しましょう。

 上でも触れたように上大岡駅のバスターミナルは駅ビルの1階にあるので、ご覧のように完全に屋内型のターミナルになっています。洋光台駅行きこまわりくんは、3番乗り場からの発車になります。
 この3番乗り場からは、他にも江ノ電バスの関の上・打越経由洋光台駅・磯子駅・栗木・上中里団地・氷取沢方面行きが発車します。江ノ電バスは他にも、4番乗り場から天神橋方面大船駅・鎌倉駅行きが、6番乗り場から日野高校入口経由洋光台駅行き(ただし本数は平日2本のみ)が発車しています。

 ここのバスターミナルのバス乗り場の数が10ヶ所、外の鎌倉街道上の乗り場が2ヶ所、計12ヶ所のバス乗り場が上大岡駅前にはあります。鎌倉街道上の乗り場というのは、鎌倉街道を大船方面から横浜方面に直通するバスはバスターミナルには入らずに街道上のバス停に止まるために設けられているもので、こちらにも江ノ電バスの、大船駅・栗木発横浜駅行きが発着しています。あまりにも系統が多いのでここでは割愛しますが、横浜市営バス、神奈中バス、京急バスも、当バスターミナルを拠点に各方面へ路線を展開しています。
 上大岡は、バスにとっても横浜南部地域の一大拠点となっているのです。

 

路線の概要(2001年4月16日開業)

運転系統  洋光台駅 - グリーンタウン中央 - 雑色 - 桜道坂上 - 上大岡駅 
所要時間 約20分
運転状況

  平日

  始発(洋光台駅) 6:25 (上大岡駅) 7:00 (雑色発洋光台駅行き)6:06  
  終発(洋光台駅)20:25 (上大岡駅)21:00 (洋光台駅発雑色止)21:25  

  12時〜14時;1時間毎 その他の時間帯;30分毎

 土休日

  始発(洋光台駅) 6:55 (上大岡駅) 7:30 (雑色発洋光台駅行き)6:36  
  終発(洋光台駅)20:25 (上大岡駅)21:00 (洋光台駅発雑色止)21:25  

  11時〜13時、17時以降;1時間毎 その他の時間帯;30分毎

運 賃 横浜市内均一210円
運賃前払い方式 前扉から乗車、後扉から降車 共通カード使用可能
担 当 江ノ島電鉄 横浜営業所 (関の上車庫)
特記事項  

 

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