湘南二都物語 第2幕 ミニ バスの走る街
第4部 高山車庫〜茅ヶ崎駅(辻堂駅北口・茅ヶ崎市立病院経由)(神 奈中バス)
1999年7月、これまで公共交通の空白地域だったエリアを横断して、
辻堂駅北口〜茅ヶ崎市立病院線(辻05系
統)が開通しました。
路線のかなりの部分が、川にふたをした上の道を走るというユニークな路線で、
3年間、駅と病院への足とし
て活躍しましたが、
2002年7月1日、この路線がさらに東に延長され、辻堂駅北口から、高山車庫まで行くようになりました。
延長区間は、藤が岡線や渡内線と同じく、藤沢市民の要望による「地域提案型」路線で、
ほぼ全区間、JR東海道本線の線路横を併走します。
これに伴い、茅ヶ崎市立病院〜高山車庫間全線が、新たに辻08系統を名乗ることになりました。
さらに2004年1月、
茅ヶ崎市立病院から茅ヶ崎駅まで路線延長、経由地の一部変更(室田2丁目→室田)が行われ、
高山車庫〜茅ヶ崎駅間全線を辻09系統としました。
(2002.7.7.路線延長に伴い、ページ全体を再構成し
ました。紫字の部分です。
2004.4.25.路線延長、経由地変更に伴い、高山車庫→茅ヶ崎駅の流れにページ構成を修正しました。桃色字の部分です。)
この路線は、湘南二都物語でご紹介しているミニバス路線としては異例の、2度の路線延
長を経ています。 もともとは辻堂駅北口起点の、茅ヶ崎市立病院(バス停名は「市立病院」)行きの路線でしたが、それがまず辻堂駅北口側 が高山車庫まで延長され、今回さらに、市立病院側が茅ヶ崎駅に延長、そして途中経由地を、室田2丁目から室田に変更とい う変遷を遂げています。 延 長後、路線は全線で辻09系統を名乗っていますので、この路線のご紹介も辻堂側の基点、高山車庫からにしましょう。 ということで、ここが高山車庫です。藤沢地区を走る神奈中バスの拠点となっています。 写っているのは、車庫始発(というか、実態は折り返し)の茅ヶ崎市立病院行きです。 (なお2004年の路線再編後、この路線は原則として高山車 庫〜茅ヶ崎駅間の運行となりましたが、夜間等一部に、高山車庫〜市立病院止まりの便が残っています。これは従来の辻08 系統を名乗っています。) 画面左側の白い大きなビルが、神奈中&藤沢神奈交藤沢営業所のオフィスです。ここ高山車庫は、所属するバスを全て収容 するために車庫を2階建てにしている、珍しい営業所です。 面白いのはこの路線、高山車庫が始発ですが担当営業所は 茅ヶ崎(鶴が台車庫。市立病院のそば)のため、藤沢の拠点 高山車庫は単なる折り返し場となっています。 この高山車庫付近は、基本的に工業地域で、周囲には上でご紹介したSONY研究所をはじめとする工場等が多く立地して います。 そのため、朝夕は藤沢駅〜高山車庫を通勤で乗る人が大変多いのが特徴です。しかし・・・ |
|
高山車庫の次、ソニー前停留所です。 ここはもともとSONY研究所(画面左の白い建物)と、日本電池の大きな工場(画面右側にあった)にはさまれていたの ですが、この日本電池は2001年に工場を閉鎖、その跡地に、2003年3月、巨大なショッピングモール「湘南モール FILL」が誕生しました(画面右側に写っている建物)。 FILLは、アメリカ風のゆとりあるフロア構成が人気で、連日多くのお客さんが訪れています。巨大な立体駐車場もある ので、多くの方は車で来店しますが、車を使わない方にとっては、この辻09系統は、辻堂・茅ヶ崎方面から直通の便利な路 線となります。 辻09系統には、通勤輸送のほかに、FILLへの来店客輸送という、新しい役割が加わることとなったわけです。 (同様に従来からあった、藤沢駅〜高山車庫の便も、藤沢駅からの便利な直通便となりました。) |
|
湘南中央病院付近
を行く、高山車庫行きです。 ご覧のように、ずっと一直線の道が、東海道本線(右側の複々線)にそって伸びています。ソニー前まで、ずっとこんな感 じです。 途中道幅が狭くなるようなこともなく、これなら普通のバスでも十分走れますが・・・なぜ今まで、この道にバス路線がな かったんだろう?あってもおかしくない感じです。 |
|
2002年の路線延長に
伴い、装いを新たにした辻08系統は、茅ヶ崎市立病院方
面、高山車庫方面双方とも、乗り場が新たに辻堂駅北口すぐ前の路上のバス停となりました。2004年の辻09系統への移行後も同様です。 これは、茅ヶ崎市立病院方面行き乗り場に停車中のバスです。高山車庫行きは同じくこの道の反対側、ここより少し茅ヶ崎 寄りの路上にあります。 辻堂駅は、南口が辻堂海岸への、北口が湘南ライフタウンへのそれぞれ
入り口となっています。南口には神奈中バスと江ノ電バスが、北口は神奈中バスがそれぞれ発着しています。 |
|
辻堂駅北口からは、ミニバス路線は2系統出て
います。 一つは、今紹介中の辻09系統で、もう一つはこの路線の北側、新湘南バイパスの側道を走る辻堂駅北口〜赤羽根線 (辻07系統)です。路線開設の歴史は、辻07系統の方が約10年ほど先輩です。 辻07系統(赤羽根線)は開業当初は、辻09系統同様神奈中茅ヶ崎営業所の担当でしたが、2000.9.18より、藤沢神奈交バス 藤沢営業所に担当が移管されました。辻09系統は、前述のように神奈中茅ヶ崎営業所が担当しています。 使用車両は移管後も従来と同じく、共にミニバス(厳密には中型バス)が使われています。 左は路線延長前、辻堂駅北口バスターミナル5番乗り場(赤羽根行きと同じ) に停車中の、茅ヶ崎市立病院行きです。 この頃は辻堂駅北口〜東小和田間が駅方面行きと病院方面行きで経路が異なっていて、駅方面行きは現在と同じですが、病 院行きは赤羽根行きと同じく、明治市民センター前を経由し、ライフタウン入口交差点(国道1号線から辻堂駅への入口の交 差点)を左折して、東小和田まで国道1号線を通っていました。 さて、その理由は・・・? 次の項にその答えがあります。 |
|
東小和田交差点を通過する、路線延長前の辻堂
駅行きです。
国道1号線にあるライフタウン入口交差点はよく渋滞する(辻堂駅に入
るには右折なのでなおさら)ため、延長前の辻堂駅行きでは、現行の駅西口経由でショートカットし、この交差点を回避
しました。 かつて、病院行きがライフタウン入口交差点を通っていたのは、道の構
造が、辻堂駅北口旧乗り場(バスターミナル内)から駅西口方面に行けなかったため、やむを得ず通っていたのです。 |
|
|
菱沼団地入口付近を走る、旧辻堂駅行きです。
この辺は国道1号線と新湘南バイパスに挟まれたエリアで、長らく公共
交通には恵まれていませんでした。もともとこの道は、千の川という小川を暗渠化して造った道で、つまり元々は川だっ
たため、バスなど走れなかったのです。 この路線は、1999年7月16日に運行開始しましたが、やはりこの
周辺の他のミニバス路線同様、地域住民からの要望があって開設されたようです。そしてこの要望には駅だけでなく、市
立病院への足の確保もあげられていたようで、これは注目すべきことだと思います。 |
2004年の路線再編に伴い新たに経由するこ
ととなった、室田バス停に停車中の茅ヶ崎駅行きです。 従来この室田地区(室田、室田小学校入口、室田1丁目及びニュータウン中央、ニュータウン入口)は、茅14系統、茅ヶ 崎駅〜室田循環線がカバーしていたエリアです。2004年の路線再編は、この茅14系統と辻09系統が相互に補完しあう ような形で行われ、室田地区は、茅14系統と辻09系統が交互に運行するようなダイヤ編成になっています。 この他、従来辻08系統が経由していた室田2丁目起終点で茅ヶ崎駅まで運行される茅16系統も新設されましたが、これ は朝夕の一部の便のみの運行で、茅14、辻09系統の補完路線となっています。室田2丁目は2004年の路線再編以降 は、茅14、茅16系統の室田循環線のみがカバーしています(他の室田地区のバス停も近いので、それで実害がないので しょう)。 |
|
高田3丁目付近を走る、旧辻堂駅行きです。
この付近は、ハイグレードな住宅地となっています。 |
|
市立病院に入ってきた、高山車庫行きです。 従来市立病院のバス乗り場(タクシープールも)はここではなく、もう少し東側にありましたが、背後に見える茅ヶ崎市立 病院の増築に伴い、現在位置に乗り場が移りました。それに伴い、バス乗り場への進入口も西側に移り、現在のようにニュー タウン入口から入るように改められたのです。 (移転前のバス乗り場の風景が、下の写真です。) この病院のすぐ横を、暗渠に入る前の千の川が流れています。千の川の流れは この先、小出川という小河川に合流した後、最終的には相模川に合流して海へ向かいます。 |
|
2004年の路線再編で新たに開業した、国道
1号線を行く茅ヶ崎駅行きです(本村〜茅ヶ崎駅間)。茅ヶ崎駅まであとちょっと、ラストスパートです。 この付近の国道1号線には、画面にも写っているように、江戸時代の名残である東海道松並木が、今でも多少残っおり、風 情を感じさせます。 松並木の背後にちらりと見えるのは、茅ヶ崎SATYとワーナーマイカルの建物です。 なお茅14系統の室田循環線も、従来本村は経由していませんでしたが、2004年の路線再編後、新規開業した辻09系 統同様に、本村経由となりました。 |
|
茅ヶ崎駅前の4番バス乗り場に待機する、高山
車庫行きです。 辻09系統は、茅ヶ崎営業所が担当しているにもかかわらず、開業以来茅ヶ崎駅と縁がありませんでしたが、2004年の 路線再編で、ついに茅ヶ崎エリアの中心地、茅ヶ崎駅前に乗り入れを果たしました。 1999年の開業当初は、辻堂エリアの交通事情改善が主目的だったこの路線も、2度にわたる路線延長で次々に新しい役 割が加わり、大きな飛躍を遂げたことになります。 茅ヶ崎エリアを走る神奈中バスは、他のエリアに比べ車体が小ぶりな傾向があるのですが、ミニバス(辻09系統のような 中型バスも)専用の路線は実は少ししかありません。 茅ヶ崎駅発の路線では、今回ご紹介した辻09系統と、茅ヶ崎駅南口から出るコミュニティーバス「えぼし号」(これは 茅ヶ崎市の委託運行によるマイクロバスで、直営ではありませんが)だけです。ただ最近、文中で何度か触れた茅14系統室 田循環も、中型バスで運行することが多いようです。 茅ヶ崎市内は自転車の利用者が多く、また道も狭いところが多いので、市は今 後の政策として、コミュニティーバスを充実していくことを検討しています。えぼし号はその先達なのですが、将来市内に、 小さなバスが一杯走るようになるかも知れませんね。 |
路 線の概要(2004年4月現在)
運転系統 | (辻09系統) 高山車庫 − 辻堂駅北口 − 東小和田 − 室田 − 市立病院 − 茅ヶ崎駅 ※高山車庫 − 市立病院
間の区間運転は、辻08系統。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
所要時間 | 全線約25分 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
運転状況 |
(参考)平日;6〜8時、17〜19時
約20分毎、その他の時間帯 約40分毎 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
運 賃 |
運賃後払い方式。乗車、降車とも 前扉から(始発乗車は中扉)。共通カード使用可能。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
担 当 | 神奈川中央交通 茅ヶ崎営業所(鶴が 台車庫) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特記事項 | 1999年7月、辻堂駅北口〜市立病院
間、開通(辻05系統) 2002年7月1日、辻堂駅北口〜高山車庫間延長開業、駅→病院行きの明治市民センター経由を 駅西口経由に一本化。 (市立病院〜高山車庫間全線を、辻08系統と改称。) 2004年1月、市立病院〜茅ヶ崎駅間延長開業、室田2丁目経由を、室 田経由に変更。 (高山車庫〜茅ヶ崎駅間全線を、辻09系統とする。辻08系統も室田経由に変更の上、一部残存。) |