湘南二都物語 第2幕 ミニバスの走る街

第1部 藤沢駅南口〜高 根(江ノ電バス)

高根とは、藤沢市鵠沼海岸付近の昔の呼び名です。

現在の鵠沼海岸3丁目、鵠沼銀座(マリンロード)の西のはずれに「高根」バス停はあります。

この路線は、湘南を走るミニバス路線の中でも最古参の、歴史ある路線です。

沿線は、鵠沼の落ち着いた邸宅街です。

昔、この付近が一面の砂丘だった頃の名残である、松の木が多く残ります。

(99.10.10.展示1件及び江ノ電バス(株)関連の記述を追加。茶字の部分です。2000.3.20.運行担当の全面委託化による加筆修正。紫字の部分です。2001.4.30.委託に関する追加記述。青字の部分です。)

 藤沢駅南口で発車を待つ、高根行きです。
 この路線を走るのは、江ノ電ミニバス新鋭の、こまわりくん型低床バス(日産ディーゼル)です。

 南口の乗り場は、小田急デパートのOPA側出口の前です。
 余談ですが、小田急デパートとOPAの間の道の中央部には現在緑地帯がありますけど、実はこれは江ノ電の旧線路敷です。現在の高架線ができたのは1974年ですが、それまで江ノ電はここを通って、現在の南口Floraビルのあたりにあった旧駅に乗り入れていました。

 この路線は、藤沢駅付近以外は、ずっと鵠沼の住宅街の中を走ります。鵠沼というところは、古くから発展したため道幅が狭いことで有名ですが、このバスの走る道も藤沢駅付近以外は、乗用車とやっとすれ違えるほどの狭さです。小田急江ノ島線が平行していますが、上岡が本鵠沼駅の、終点高根が鵠沼海岸駅の最寄りになります。といっても、共に駅からちょっと離れています。

                
 高瀬通り〜上岡間です。

 鵠沼特有の松林の間を行きます。ここは結構みどりが残っていますが、鵠沼地区の松林は全体的に見るとどんどん姿を消しつつあります。かつての邸宅地が、相続などにより細かく分割され、ミニ宅地として再分譲されるのがその大きな要因となっているようです。藤沢市では、住宅地に残る松の木を保護する施策を講じていますが、鵠沼らしさを保つためには、住民と業者により一層の理解と協力を得ることが必要でしょう。

 前述の道幅ですが、ご覧のようにバス通りと言えど相当狭いです。歩行者・自転車は余程気をつけて通らないと、危ないと思います。

 この路線は全線通して乗っても10分ほどの道のりですが、結構乗車率は高いです。特にこまわりくんになってから、乗る人が増えたような気がします。沿線に住む人々はどちらかというと高齢の方が多いので、低床バスというのが乗りやすいのかも知れません。
 今の車両になったのは1997年ですが、それまでここを走っていたバスは現在、七里ヶ浜循環線(藤沢営業所)と、戸塚駅〜下倉田循環線(鎌倉営業所)を走っています。これらのバスは、少し古い車で、低床ではありません。

   

 中岡付近を行きます。
 中岡は、私立湘南学園の最寄りバス停ですが、児童・生徒はほとんどが小田急で通っており、このバスを使う例はまずありません。しかし、一般客についていえば、ここは、比較的乗降客が多いバス停です。

 この路線を走るバスは、江ノ電の藤沢営業所(鵠沼車庫)に所属しており、同じく藤沢駅南口から出る、渡内中央線と共用になっています。(下の項で詳説しますが、99年9月中旬以降、高根線の江ノ電バス(株)移管により渡内中央線との車両共用はなくなりました。)途中、道の渋滞はほとんどありませんが、藤沢駅付近の江ノ電ガード下の交差点で土日の午後などに渋滞が発生し、多少の遅れが出るときがあります。

 現在この路線はまあまあ順調に推移しており、特に課題のようなものも無いように思います。運行本数も、適当と言えるでしょう。終バスも平日のみですが22時台に延長されました。

 
 さて、この路線には、江ノ電のバス路線では唯一の、小田急線の踏切を渡る箇所があります。その場所は、終点高根の直前です。
 幅の狭い踏切道を、ミニバスがゆっくりと渡っていきます。当然、この幅ではマイカー同士でも対面通行でなければ通れません。

 ここに写っているバスは行き先が藤沢駅行きになっていますが、高根行きです(終点がもうすぐのため、行き先を変更してしまっている)。小田急線は、向かって右側が江ノ島方面、左側が藤沢方面になります。背後には、鵠沼の特徴である松が茂っているのが見えています。
 鵠沼地区はこの付近では、この小田急線の線路が、鵠沼海岸と鵠沼松が岡の境界線になっています。この写真では、手前が鵠沼海岸(3丁目)、線路の向こう側が松が岡になります。 

   

 終点の高根です。

 藤沢館の鵠沼海岸3丁目の項でもこの地点はご紹介していますが、鵠沼銀座の西のはずれに位置します。折り返し場は、一般車と相鉄ローゼンの駐車場共用の広場のようなところで、今バスが止まっているところにバス停が立っています。ここでバスはぐるりとUターンし、藤沢駅に戻ります。
 
上でご紹介した踏切と画面に映るT字路の為、ここも時々車が詰まり、バスも身動きがとれなくなる時もあります。

 ここから鵠沼海岸駅までは、歩いて2〜3分の距離です。画面を向かって左に行くと駅で、右に行くと八部公園(はっぺこうえん・別名鵠沼運動公園。野球場、温水プールなどがあり、鵠沼地区のスポーツ活動の拠点)に出ます。


 ところでこの高根線は、99年9月中旬より、所管が江ノ電本体のバス部門から、子会社である江ノ電バス(株)に移管されました。江ノ電バスは、江ノ電藤沢営業所(鵠沼車庫)内に事務所を構えており、99年4月、江ノ電バス部門から貸切バスの営業を移管されて設立されたものです。

 このように、バス事業を従来の親会社から、新設の子会社に移管していく例は最近全国的に見られます。
 例えば、神奈川中央交通でも、湘南神奈交バス(株)、津久井神奈交バス(株)等の子会社を設立し、平塚、秦野、津久井地区などの一部路線を移管しています。また貸切バス部門は、同じく子会社の神奈中ハイヤー(株)に移管しています。
 残念ながら移管されるのは、不採算路線・部門が中心(いわゆるリストラ策)なのが実態です。

 江ノ電でも、今後この江ノ電バス(株)に移管されるバス路線が増えていくことが予想されます。高根線はその第1号ということになるのでしょう。でも、何とかして路線を維持していこうという前向きな考え方が、この子会社化という施策につながっているわけで、我々も、地域の公共交通維持のために、積極的にバスを利用していきたいものです。
 公共交通の維持こそ、高齢化・福祉・環境対策が最重要課題となるであろう21世紀に不可欠な社会的テーマでしょう。

 2000.3.16より、さらに江ノ電バス(株)への委託路線が増えました。新たに委託されたのは、渡内中央線、七里ヶ浜循環線、辻堂駅発着路線の大半です。高根線も従来の部分委託から、完全委託となりました。
 辻堂駅発着路線は、大型バスの運行路線で、これにより江ノ電本体の藤沢営業所(鵠沼車庫)担当路線は、藤沢駅北口及び江ノ島発着を中心とした、従来の約半分の規模に縮小されました。

 2001年3月16日、江ノ電藤沢営業所の乗合バス路線は、全て江ノ電バス(株)へ委託されました。
 これからは、今後数年のうちに、手広営業所の路線が少しずつ江ノ電バス(株)へ委託されていくことになるようです。鎌倉・横浜の各営業所は、今後とも江ノ電直営で残るようです。

路線の概要(1999年10月現在)

運転系統    藤沢駅 − 上岡 − 高根    区間運転なし    
所要時間  全線約10分
運転状況 平日  始発(高根)6:10(藤沢駅)7:10
     終発(高根)20:52(藤沢駅)22:05

土休日 始発(高根)6:25(藤沢駅)7:10
     終発(高根)19:52(藤沢駅)20:35

平日21時以降約1時間毎、その他約30分毎
運 賃                  
    藤沢駅
  高瀬通り  170
高 根  170  190

 運賃後払い方式。後ろ扉から乗車、前扉から降車。共通カード使用可能。

担 当 江ノ電バス(株)(鵠沼車庫) 
特記事項 99.9.16.より、運行担当を江ノ電バス(株)に移管。
渡内中央線への入出庫の車両が一部高根線で営業するほかは、全て
江ノ電バス(株)で運行。
2000.3.16より、運行担当を江ノ電バス(株)へ全面委託。

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