湘南二都物語 第1幕 江ノ 電をめぐる情景特別編

江ノ電納涼電車、走る!


峰ヶ原信号所で交換する、江ノ電納涼電車

 


・・・懐かしさは「江ノ電の納涼電車」とともに、
幸せは「藤沢・鎌倉市民」とともに!・・・

明るい湘南の街・藤沢と、豊かな歴 史に彩られた古都・鎌倉を結んで走るかわいい電車、それが江ノ電です。
江ノ電自体、日本でも指折りの長い歴史を持つ電車ですが、私たちは、街の文化としての江ノ電、環境負荷
のより少ないクリーンな公共交通としての江ノ電、この2つの視点から改めて江ノ電の価値を見直そう、と
いうことから、今回の企画を構想しました。

納涼電車の企画は、昨年、鎌倉市民 らによるNPO団体・鎌倉市民同窓会の方々のお力で約60年ぶりに復活したものですが、今回は更に、江ノ電の利 用を通して、沿線の街の交流をより一層深めていこう、という
ことも目的にしています。

市民の皆さんには、ぜひこの納涼電 車に乗っていただき、湘南の微風を感じていただきたく、そして更なる
親睦を深めていただきたく、ご案内いたします。
なお参加費の一部は、私たちの街をより住み心地よくしようと頑張っている、地域のNPO団体に寄付させ
ていただきます。
よろしくお願いいたします。

(今回作成した案内チラシの元原 稿、一部改変)

 

 2000年8月5日(土)、昨年夏に引き続き、江ノ電に納涼電車が 走りました。

 納涼電車とはつまり、涼しげな装飾を施した車内でビールやソフト ドリンクを飲み、おつまみなどつまみながら、車内で奏でられる生演奏に耳を傾けつつ、夕暮れの湘南海岸の風景を 愛でる小さな旅をしよう、というものです。
 昨年は鎌倉発だけだったのですが、今年は新たに藤沢発も加え、藤沢・鎌倉同時発車としたこと、また運行を江ノ 島で打ち切り、駅最寄りに両市民交流のためのパーティ会場を設営したことなど、鎌倉・藤沢の両市民らが力を合わ せて実現したこのイベントは、湘南の夏の風物詩として、今年大きく花を開くこととなったのです。

 また昨年は、NPOの鎌倉市民同窓会の主催で開催されましたが、 今年は鎌倉市民同窓会を中心に、藤沢・鎌倉の青年会議所(JC)、藤沢市民電子会議室運営委員会(これが私で す)の代表メンバーに江ノ電本社営業課職員を加えて組織された、「江ノ電納涼電車実行委員会」が主催者となりました。

以下、
共催;鎌倉市民同窓会
後援;鎌倉市、藤沢市、江ノ島電鉄、藤沢市民電子会議室運営委員会、藤沢・鎌倉両JC
協賛;キリンビール、明治乳業等
協力;江ノ電商事、片瀬竜の口商店街、三菱電機、鎌倉朝日等
という陣容です。これに当日、市民ボランティアも加わり、全てのスケジュールを無事にこなすことができました。

 ちなみに今年のスケジュールは、次のとおりでした。

1.納涼電車を藤沢・鎌倉から2本ずつ同時発車させる。 (各18時、19時12分)
2.運行区間を昨年の鎌倉駅起終点から、藤沢発・鎌倉発とも、途中の江ノ島止まりとした。
(藤沢発→鎌倉折返し→江ノ島終点、鎌倉発→藤沢折返し→江ノ島終点)
3.江ノ島駅近くの近隣商店街用駐車場において、藤沢・鎌倉両市民の交歓パーティを開催。納涼電車のお客様 をパーティ会場に誘導。

 これに伴い、使用車両も昨年の10形(いわゆるレトロ車)の他 に、今回初めて2000形(前面展望車両)も使用し、2本体制で臨みました。
 電車の車内に提灯や風鈴、モールといった納涼の飾りつけをしたのは昨年と同じですが、電車2本使用に伴い、昨 年使用した極楽寺車庫の他に、今回初めて、江ノ島駅引込線での飾り付け作業を実施しました。

 前置きが長くなってしまいましたが、それでは、イベント当日の模 様を振り返ってみたいと思います。
なお私が藤沢側のスタッフだったため、風景はほとんど藤沢側に関するものです。

   

 はじめにこれは、江ノ島駅引込線における藤沢便納涼電車2000形の飾り付けを行っ ているところです。
 藤沢JCの方々や市民ボランティアの手により、風鈴や提灯などが次々に飾り付けられていきます。

   

 飾り付けの終わった、藤沢便納涼電車の車内風景です。

 前面展望形の2000形は、窓も大きく車内も明るいため、装飾がよく映えますね。こ れに比べ、レトロ車を使った鎌倉便納涼電車は、やや落ち着いたムードになっていました。江ノ島駅留置線での撮影で す。

   

 これは、藤沢駅へ回送する途中の藤沢便納涼電車の車内風景です。
 車内でラテンミュージックの生演奏を披露してくれた楽団「アマポーラ」の皆さんが、最後の音あわせに余念がありま せん。その向こう側の車内には、飾り付けが終わってほっとした表情の藤沢JCの面々の姿が見えます。

あと数分で18時、第1便の運行直前の風景です。

   
これはちょっと感動的な風景です。
初めて藤沢始発となる納涼電車が、藤沢駅に入線する瞬間です。

乗車を待つ第1便のお客様方の姿が見えます。第1便は最終的に、ほぼ満席のお客様となりました。
納涼電車の編成は藤沢便・鎌倉便とも4両編成で運行されますが、それぞれ鎌倉寄りの2両が貸切扱いの納涼電車です。 そして藤沢寄りの2両が一般客用に開放されており、各駅で客扱いを行います。当然、納涼電車も各駅に停車するのです が、こちらは前述の通りドアを締切にしており、一般客の乗降は出来ません。

今回、藤沢発の納涼電車を初めて設定したことで、藤沢駅では事前に入念な打ち合わせが行われました。
納涼電車の受付は改札の外で切符の受け渡し、改札を入ったホーム上でビール等の飲料やうちわなどの受け渡しを行うよ うにし、電車の乗車は降車ホーム側から、整列乗車で行いました。
江ノ電の電車は、終点・藤沢、鎌倉での折返しに、わずか2分しか時間がとれないことから、納涼電車の乗降は素早く行 う必要があります。今回はお客様のご協力と整列乗車により、乗車は手際よく行われました。なお納涼電車のドアは、今 回全て江ノ電職員の操作による手動扱いとなり、乗降時以外の途中駅では基本的にドアを開けないこととしたので、安全 性が高まりました。(昨年は途中駅でも、通常通りドアが開いていました。)

さて、いよいよ納涼電車の運行開始です。第1便では、不肖私が、最初のご挨拶をさせていただきました
(お聞き苦しい点が多々あったと思います。ご容赦下さい^^;;;)。

   
これは、藤沢第1便の先頭車内の車内風景です。
座席と座席の間にはテーブルが据え付けられており、お客様は配られたビールやソフトドリンク、持ち込みの焼き鳥などをめ いめいテーブルに載せ、それぞれくつろいだ時を過ごしておいでです。手前に見えるのは、素晴らしい演奏を聴かせる、楽団 アマポーラの方々です。

納涼電車には、1両につきそれぞれ数名のスタッフが、客室係として乗り込んでいます。この風景でも、奥に立ってい るのがスタッフの一人です。
また、ドア担当の江ノ電職員の方も各車両に一人乗り込んでいます。締切とは言え、不慮の事態では開けなければいけま せんから、こうして乗り込んでいるのです。この風景では、左端の青い腕章を付けた方が、江ノ電の職員の方です。

   

 藤沢第1便では、電車が鎌倉に着く頃、楽団の方が使っていたアンプとスピーカーがト ラブルで使えなくなってしまいました。そこで急遽、楽団の皆さんは本当の生演奏にチェンジです。
 これは、2両目の車内ですばらしい演奏を繰り広げて下さっている、アマポーラの方々です。私は2両目のドアの所に いたので、これ幸いと撮影したのがこの写真です。

 そしてその演奏に聴き惚れる、2両目にご乗車のお客様方です。本当に、お客様の笑顔 を見ると、準備の時の苦労が吹き飛びます。ご乗車下さった皆様、どうもありがとうございました。

   

 第1便のお客様方は江ノ島駅で下車し、パーティ会場へと向かわれました。この風景 は、藤沢第2便の発車直前の模様です。
 第1便に乗り込んだスタッフのうち半分が、お客様を会場へと誘導し、私を含めたあと半分のスタッフは、第2便の準 備で車内を整理しながら、藤沢へと戻ったのです。

 第2便も、無事に出発していきました。

   

 藤沢駅ホーム端の、受付の風景です。
 もっともこれは、第2便出発後の撮影で、これから受付を片づけようとしているところです。江ノ島で電車の飾り付け をしていた私は、受付の本番の模様を見ることが出来ませんでした。
 ここに写っているのは、すべてスタッフの面々です。
 

   

 受付を片づけ終わった私たちは、藤沢第2便が出発した約30分後に到着した、鎌倉発 納涼電車の第2便に便乗して江ノ島へと向かいました。これは、その時撮影した鎌倉第2便の車内風景です。

 前述の通り、鎌倉発の納涼電車はレトロ車を使用しています。そのため、車内はやや落 ち着いた雰囲気に演出されています。基本的に車内の飾り付け内容は同じですが、鎌倉便(この車内)では藤沢便で使用 していたカラーリボンを省略しています。
 浴衣着のお客様も写っていますね。

   

 そしてこれは、鎌倉便の納涼電車に乗り込んでいた楽団「ザグアンドザグトリオ」の 方々です。
 この方々はアコーディオンとバイオリン、ボーカルのトリオで、昨年も納涼電車に乗り込んで下さっており、今年もス テキな歌声を聞かせて下さっていました。電車が揺れるので、ちょっとぶれてますが・・・(^^;;;
 この電車は江ノ島で終点となり、極楽寺へ回送されていきました。

 このあと、私たちは一旦江ノ島で降り、藤沢第2便の江ノ島到着を待ってそれに乗り込 み、営業の終わった回送の納涼電車の装飾をはずしながら、極楽寺へと向かったのでした。

   
 そして最後に、江ノ島の藤沢・鎌倉両市民交歓パーティ会場の風景です。

 といっても、極楽寺で納涼電車の片づけをしてきた私たちが江ノ島に戻ってきた頃には、もうパーティは終了してし まっており、後かたづけに入っていました。この風景は、既にかなり後かたづけが済んでしまった会場風景です。
 でもまだ提灯などが残っていて、お祭りの雰囲気を出していました。私らも、残っていた焼きそばなどにありつ
くことが出来、ほっと一息です。

 聞いたところでは、江ノ島会場では若干の準備不足の部分があったようですが、概ねお客様には喜んで頂けたようで す。この会場にも、ハワイアンを奏でる楽団(トリオ カマ・アイナ&フレンズ)が来て下さり、ムーディーな演奏を聴 かせてくれたそうです。

 このあと、しばらくして全ての片づけが終わり、残っていたスタッフは「お疲れさまでした」ということで、無事、 解散となったのでした。本当に事故もなく終了することが出来、肩の荷が下りました。

   

そして最後に・・・

 今回、納涼電車の定員は、お客様が全員着席できるよう1便あたり70名とし、藤沢 発・鎌倉発それぞれ2便ずつ、延4本運行することから合計280名(参加費はお一人3,000円)となりました。
 ただ、これはちょっと残念なことだったのですが、鎌倉便がほぼ満席の申し込みがあったのに引き替え、藤沢便はあま りお客様が集まらず、最終的に第2便は定員の約半分のお客様だけで発車することとなりました。

 これには、様々な要因が考えられるように思います。
 やはり鎌倉で始まった納涼電車イベントなので、藤沢ではそれほど知名度が高くなかったということと、観光都市であ る鎌倉の市民と、どちらかと言えばベッドタウン的な性格の濃い藤沢の市民とでは、このようなイベントに対する考え方 に差があるらしいことが、主な要因なのではないかな、と、個人的には考えています。
 また昨年は、約60年ぶりの復活ということで新聞にも大きく取り上げられ、それでお客様が多く集まったと言うこと もあったでしょうが、今年は2回目で、新聞各紙には取り上げられたものの、昨年ほどのインパクトはなかったでしょ う。

 あと、江ノ電本社が、7月20日(海の日)と8月26日の両日に、直営のビール電車 を企画したことも影響していると思われます。
 これはそれぞれ定員は50名ずつ(参加費お一人2,500円)なのですが、直営だけに宣伝も充実しており、事実こ のビール電車と、私たちの実施した納涼電車とを混同しているお客様も多かったのです。多分江ノ電本社としては、昨年 の反響の良さから、計3回もビール電車イベントを実施しても、お客様のニーズはあるだろうと踏んだと言うことなのか も知れません。
 今回、このような結果になったことを考えると、今後実施する際は、江ノ電本社とNPOとの共同企画とするなど、競 合を避けるような工夫が必要でしょう。私たちの納涼電車の方も、江ノ電本社は後援しているのですからネ(^^)。

 何はともあれ、20世紀最後を飾る今年の納涼電車イベントが、無事に終わったのは本 当に良かったです。
来年は、いよいよ21世紀。江ノ電納涼電車は、来年はどんな走りを見せてくれるのか・・・

 藤沢市民と鎌倉市民の交流の架け橋、納涼電車。来年の夏、再び会えることを信じ て・・・

 

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